2013年04月12日(金)

文学としての聖書入門・第二部

紙芝居 ペテロは、三度イエスを知らないという

イエスは、最後の夕食を弟子たちととったあと、弟子たちとともに人里離れた静かなころに行き、こんなことをいいます。以下はマルコを底本にして、英文聖書を参考に書き起こしています。ちなみにペテロとペトロは同じです。英語ではピーターを発音します。

①マルコ14章27~31節
イエス
「あなたがたはみんな、私から逃げ去り、私を離れていくことになる。聖書には、『神は羊飼を殺す。すると、羊たちはちりぢりになる』と書いてある。しかし、わたしは、復活し、あなたがたより先にガリラヤに行く」
ペトロ「私は、たとえみんなが逃げ去ってもあなたを離れることなんて決してありません」
イエス「はっきりいっておく。今夜、鶏が二度鳴く前に、お前は、三度、私を知らないというだろう」
ペトロ(強い調子で)「たとえ、ご一緒に死ぬことになっても、あなたのことを知らないなどというわけはありません」
一同「わたしだってそうだ」「私もだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②マルコ14章43~50節
ユダはやってくるとすぐに、イエスに近寄り、「先生」といって接吻した。
それを合図に、祭司長の手下や群衆は、イエスに手をかけて捕らえた。
イエス「まるで、わたしがならず者かなにかのように、剣や棒を持って来なければ、私を捕らえられないのか。わたしは毎日、神殿の境内で、あなたがたと一緒にいて教えていたのに、あなたたちはわたしを捕らえはしなかった。とはいえ、聖書の言葉は実現されることになる(から私は死ぬ)」
弟子たちは、皆、イエスを見捨てて逃げてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③マルコ14章53節
人々は、イエスを大祭司のところへ連れていった。
(絵では、手下のように描いているが、聖書では「人々」とあり、群衆がぞろぞろ捕らえられたイエスについていった。ペトロは、不安で胸をどきどきさせながらイエスのあとを追った)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④マルコ14章53~64節
祭司長、長老、律法学者たちが皆、集まって来た。
祭司長たちと最高法院の全員は、死刑にするためにイエスにとって不利な証言を求めたが、その者たちの証言は食い違い、判決にいたらなかった。
数人の者が証言する「この男はこういったんですよ。『わたしは人間が造った神殿を打ち倒し、人の手を借りずに三日で神殿を建ててみせる』と。ねっ、まる神様気取りだ」
しかし、彼らの証言はそれぞれ食い違っていたのでイエス死刑の決定的な材料にならなかった。
大祭司(イエスに)「この者たちがお前に不利な証言をしているが、どうなのか」
イエスは黙り続け何もお答えにならなかった。
大祭司「お前はほむべき方の子、メシアなのか」
イエス「そうです。あなたたちは、いずれ、人の子が全能の神の右に座り、天の雲に囲まれて来るのを見ることになる」
大祭司(衣を引き裂きながら)「これでもまだ証人が必要というのか。諸君は、神をかたる冒涜の言葉を聞いた。どう考えるか」
一同「死刑にすべきだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑤マルコ14章54節
ペトロは、遠く離れてイエスに従い、大祭司の屋敷の中庭にまで入って、下役たちと一緒に座って、火にあたっていた。ペトロは、イエスのことが心配でならなかった。たき火にあたりながら、胸ははりさけるような気持ちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑥マルコ14章66~70節
中庭に大祭司に仕える女中が一人来て、火にあたっているペトロを目にすると、じっと見つめていった。
「あなたは、あのナザレのイエスといっしょにいた人じゃないの?」
ペトロ(イエスのことが心配でたまらなかったペトロは、しかし、とつぜんの女の言葉に狼狽して)「何をいっているんだ、何のことだか、わたしにはさっぱりわからない」
そして、出口のほうへ逃げだそうとする。そのとき鶏が鳴いた。
女中(逃げだそうとするペトロに追い打ちをかけるように)「この人は、やっぱりあの人たちの仲間よ」
ペトロは、再び打ち消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑦マルコ14章70~72節
(ペトロは、イエスが心配でならず、逃げ出さずに中庭にとどまる)
ペトロは何かを男たちと話していた。ペトロの方言か、うっかりガリラヤの話をしたのか。居合わせた人々がいう「確かに、お前は、あの連中の仲間だ。ガリラヤから来た人間だ」

ペトロ(のろいの言葉。どんな言葉だろう。のろいの言葉とともに、断言する)「あなたがたのいっているそんな人は知らない」
すると、すぐ、鶏が再び鳴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑧マルコ14章72節
ペトロは、「鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないというだろう」とイエスがいわれた言葉を思い出して、いきなり泣き出した。