2017年01月26日(木)

第11回: 頻尿、失禁に効くインナーマッスル体操

第11回

頻尿、失禁に効くインナーマッスル体操

 高齢になると夜中に何度か目覚めてトイレに行く人が多いようです。頻尿は、浅くなりがちな高齢の人の眠りをさらに浅くしますし、昼間は、いつもトイレの場所を気にします。
 動物は加齢とともに筋肉が衰えます。トイレをがまんできずにちょびっと失禁するのも、多くが筋肉の衰えが原因です。「トイレが近い」という思い込みも原因になります。
 人間の胴体は、筋肉によって鳥かご状におおわれていて、鳥かごの底には、排泄に関わる膀胱、肛門括約筋などがあります。これらを骨盤底筋(こつばんていきん)といいます。
 若い女性でも、出産などで骨盤底筋がゆるみ、くしゃみなどでお腹に力が入ると失禁する人がいます。頻尿は、膀胱の筋肉が萎縮してプールされる尿量が減少して起こります。
 しかし、筋肉は年をとっても鍛えられます。骨盤底筋を鍛える体操には、いろいろな方法がありますが、基本的には、肛門、膀胱の括約筋を締めたりゆるめたりを繰り返します。
 もっとも簡単な方法は、①膀胱、肛門括約筋をギュッと締め、お腹をへこませます。②そのまま息を吸い、4秒くらいかけて息を吐きます。次に、③括約筋を一挙にゆるめて息を吸って、お腹をふくらませます。これを5回繰り返してワンセットとし、一日数セット行います。寝ながらでも、座っていても、立ったままでもかまいません。慣れてきたらワンセットの回数を増やします。数週間から数ヶ月で効果が出ます。くしゃみなど腹圧がかかると失禁する人は、トイレにいくたびに行います。
 腹圧性失禁、切迫性失禁の予防になるだけではなく、横隔膜筋、腹筋が鍛えられることから、内臓を健康にし、「腹痩せ」効果もあります。最近では、性生活を改善するために膣の筋肉コントロールにも使われるようです。
 頻尿の改善には、骨盤底筋体操を行うとともに、意識的にトイレ間隔を少しずつ延ばして、「トイレが近い」という不安を払拭していくことが大切です。