第14回: 身近にある自然を楽しむ生活
第14回 |
身近にある自然を楽しむ生活
ヨーロッパには、「バルコニー生活」「ガーデン生活」という言葉があります。家の外部で花木を育てるだけではなく、太陽や風を感じながら、おしゃべりしたり、お茶を楽しんだり、食事をします。もともと光と風を求めるのは人間の本能です。日本の家屋には、かつてどの家にも縁側があり、地方によって夏冬問わず縁側で過ごす時間が長くありました。現在、「ひなたぼっこ」という言葉はほぼネコの占有物になっていますが、もともとは、ネコとともに、人間も、哲学をしたり、居眠りしたり、おしゃべりするという「心の洗濯」タイムでした。
現在、よく使われる「アウトドアライフ」は、たまの休日に、家から数十キロ以上離れた山や海に行くことを意味し、健康的ではあるけれど日常的ではありません。時間もお金もエネルギーも消費します。
しかし、家で、光と風を楽しむには、ちょっとだけ家具と気持ちを置き換えるだけです。庭やバルコニーに椅子とテーブルを持ち出してお茶をするのもいいし、部屋の窓際に腰掛けて、太陽や月光を浴びるだけで心は癒やされます。紫外線を避けたければ、紫外線の少ない朝、夜を過ごします。
朝の太陽の光は人間の体内時計を修正し、自律神経を整え、夜の睡眠を深いものにします。うつ病の予防・治療には太陽光は欠かせません。
一方、夜は、ヨーロッパでは現在でも、ろうそくの光、間接照明など仄暗い光を楽しみます。日本でも、提灯や灯籠などの照明文化には奧深いものがあり、昔の人がいかに夜を楽しんだか感動することがあります。月影やろうそくの仄暗い光は、やはり自律神経に働きかけて、副交感神経を刺激し、心身を安定させます。
バルコニーライフ(縁側ライフ)には、自然を味わうだけではなく、もう一つの重要な役割があります。気軽なコミュニケーションの場をつくることで、他者と心を通わせることです。テレビ、スマホ、PCなどのブルーライトをしばし捨てよ(目にも悪いし)、ひなた・月影に出よう!