第7回: 心が落ち着く、趣味としての「健康禅」
第7回 |
心が落ち着く、趣味としての「健康禅」
禅は、欧米で、この20年間にとても盛んになりました。むしろ、本家ともいえる日本であまり関心をもたれないのはもったいないことです。修行の一環とか、宗教の一つと思われているせいかもしれません。欧米人は、宗教とも修行とも一線を画しています。筆者は、ドイツに数年滞在している間に、禅道場に誘われ、ドイツ人に混じって、週1回2時間ほど「おつきあい禅」をしていました。なかなか気持ちがいいのです。
ドイツ人は思い思いの座り方をしていて、椅子に座っている人もいました。日本人の指導者(老師)はなにも面倒なことはいいません。ただひたすら座ります。雑念を追い払ってもいいし、払わなくてもいい。禅の目的はそれぞれで、基本的には心を落ち着けることでした。
もちろん本格的な禅には老師の指導をあおぐ必要がありますが、日々の悩みから解放され、精神を安定させることが目的なら家でもできます。
夜、眠る前などに、椅子に座って、10分か20分、禅的な瞑想タイムをもつことは現代人にはいろいろな意味で大切です。座り方はどうでもいいのです。ゆったりして、静かなところで、少しあごを引いて、両耳が両肩の線の上に乗るようにして、腰を立てます。背もたれにもたれてもかまいません。目をつぶり、手はひざの上に置きます。
大切なのは呼吸です。まず、息をゆっくり吐き、お腹に少し力をこめてお腹をひっこめながら息を出し切ります。次にお腹の力を抜いて、自然に息がお腹に入るようにします。息を吐くことに気持ちを集中します。規則的にこれを繰り返すだけです。
腹式呼吸は、東洋医学の健康の基本です。自律神経が調整され、副交感神経が刺激されて心身がリラックスし、血圧が下がります。体内に酸素が十分に取り込まれ、脳や体の隅々まで運ばれて細胞が活性化します。腹筋、横隔膜筋などが鍛えられ、腹やせ効果もあります。
電車で座っているときや、寝ながらでも健康禅はいつでもできます。