第4回: ホビーでうつ、認知症を予防
第4回 |
ホビーでうつ、認知症を予防
ホビーは、健康維持、認知症予防に効果的ということをご存じですか。人は、ホビーをもつことで、仲間とつながり、笑い、喜び(ときに悲しみ)、鋭い感性を養い、考え、そして歩き回るのです。精神疾患の早期治療を提唱・推進する東邦大学医学部精神科の水野雅文教授は、「心を強くして、病気を遠ざけるためにもホビーをもつべき」と強調します。ホビーでなくても、自分の日常世界とはまったく別の世界をもち、いつでも往き来できるようにすることで、精神は安定し、心の病に強くなるそうです。
「精神の安定」には、波風のない生活が必要だと思ってしまいがちですが、むしろ海のような大波小波が大切なんだそうです。たとえば、趣味のほか、祭りやパーティー、旅などで生活の変化を楽しんだり、草木の成長や冬枯れといった春夏秋冬の自然の営みを感じることも、健康な心を養ううえでキーワードになります。
とくに高齢の人が、ただ「毎日が日曜日」と思って漫然と過ごしていると、その安心感から脳も体も免疫力も弱くなります。
高齢になったら経験、知識、人格力が研ぎ澄まされて頂点に達しているのに、「定年退職」をきっかけに、それらの研ぎ澄ましを停止させてしまうのはもったいないことです。これらの力を、仕事や子育てなどの「義務」とは別の方向で生かすべきです。この転換にはとてもエネルギーが必要ですが、とても大切です。
水野教授によると、うつ病や統合失調症など心の病を抱える人が、だんだんよくなっていく過程で、どうしても必要なものは、人生の価値観の変化です。
今までとは違う生き方、考え方を手に入れないと心の病気からの脱出が困難になります。そのためにもホビー(打ち込めるもの、好きなもの)が役に立ちます。
生きがいというほどでなくても、時間を忘れて楽しめるもの、心が解放されたり、喜び、達成感をもてたりするものを必死で探すことは何をおいても大切な健康法です。
万一、ホビーをしすぎて寿命が短くなってしまったら?これって悪くない生き方じゃないでしょうか。