第29回: 人間とマグロの共通点
第29回 |
人間とマグロの共通点
マグロは、口とエラで呼吸するので、就寝中も泳がないと窒息してしまいます。ひとごとながら大変だなあと思っていたら、実は人間もそう変わりなく、動いてないと動かなくなってしまいます。動かさない筋肉は1日1%の割合で消えていきます。貧乏ゆすりでも体を動かしたいところです。
筆者は10月末に心筋梗塞を起こし、2週間ほど入院しました。サウナと水風呂を往復しているうちに、血栓がはがれて心臓の大動脈を詰まらせました。日頃怠けていて、とつぜん水風呂に入ったことが原因です。
入院生活は、出会いがあったり、結構、楽しかったのですが、驚いたのは、ぼくの心臓がどこまで働くかという負荷テストで自転車漕ぎを行ったときです。漕いでも漕いでもストップがかからず、20分漕いで(途中でペダルを重くしていく)、そのあげくに、リハビリ専門医にいわれたのは、「あなたの心臓はまだ十分働きますが、脚力がかなり弱い」。
えっ、え〜、問題は心臓じゃないの?つまり日頃の運動不足で、梗塞を起こした心臓の筋力に、脚の筋力が追いつかないのです。
退院後、歩き方の本を数冊読みました。人間は意識して歩かなければいけない動物です。今、もっともポピュラーな歩行法は、一日8000歩くこと、そのうち20分は意識的に大股で歩く「中強歩」。中強歩といっても、人と会話できるほどのスピードで、20分を小分けにしてもいいそうです。
一度にムリなら、歩数と運動量をだんだん増やします。運動のしすぎもよくありません(活性酸素を増やす)。歩くときは、足の親指の付け根あたりで踏み出します。あごをひいて、歩速に合わせて軽く手を振るようにします。
15分に一度は立って歩きましょうとか、首を回しましょうという専門家もいます。人間の筋肉は600以上もあり、これらが「動かせ」といっているのです。筋肉は動かすと、中にある発動機(ミトコンドリア)が増え、動かさないと減ります。人間もちょっとマグロっぽいのです。