障害受容はいのちの受容

 

執筆
丸山柾子:NPO法人スキップ前理事長
松尾清美:佐賀大学医学部 福祉健康科学部門 准教授

人は、けがなどで重い障害を負うと、絶望の底から精神的に立ち直るまでに長い時間がかかります。
本書の〈主人公〉である大学教員の丸山芳郎さんは、ある日、交通事故で首から下が動かなくなりました。
その日から、ジェットコースターのような心の揺れ動きの中で、家族、医師、看護師、リハビリ療法士などとともに、身体と心の闘いを開始します。
そして、一年後、教壇に戻り、この経験を凝縮させた授業を行います。
本書は、この闘いを身近で支えた妻の柾子さんの手記とともに、丸山夫妻を、リハビリ工学士として支えた松尾清美さんのリハビリの考え方、リハビリ工学のあり方を紹介します。松尾さんは、自ら車いすユーザーであり、車いすテニスの草分けとして活躍しながら、豊富な実績によって、障害のある人の生活をより豊かなものにする活動を40 年続けてきました。

●A5 判 ソフトカバー 254 ページ モノクロ
定価 1300 円+税

 

CONTENTS

はじめに
障害受容=いのちの受容
治療と障害受容を支える専門職の役割
障害受容は個々それぞれ

第Ⅰ部 障害に向き合う

第一章 ある夜、突然の電話

突然の電話
病院に駆けつけて
突然、身体が宙に浮いた
 松尾記●総合せき損センターの開設意図
転院までのいきさつ
「じゃ、行ってくるぞ」
手術完了でほっとする
看護師の励まし
院長の言葉に安心感を覚える
 松尾記●感覚がないという不安
「もう元の身体に戻れない
ひざに靱帯断裂はあったものの
「褥瘡は絶対につくらない」
はじめて大泣きする
 松尾記●急性期管理
今は苦しくても
 松尾記●排痰訓練はしっかり行う
排尿、排便のつらさ
 松尾記●8時間ごとの排尿管理 
マッサージは身体にも心にも効く
術後一週間でリハ本格化へ
院内散歩へ
「生きててよかった」という言葉が
「1㎜動いたように感じる」
付き添いへの気配り
 松尾記●受傷後2週間目のリハビリ
褥瘡知らずの入院生活
術後13日、全身痙れんという希望
 松尾記●褥瘡は看護師の恥
 松尾記●「てきぱき」の落とし穴
痙れんは唯一の筋肉運動
障害を受け入れられない
ナースの言葉にショック
 松尾記●痙れんにもよい面がある
手術50日目で知った障害の全容
術後2か月の告知
どこかで乗り越えなければならない

第二章 ゆっくり障害を受容する

希望の芽生え
人の支えが心の支えだった
悔しさをバネに
術後3か月、気持ちの落ち込み
未来が見えると悲しくなる
気分が上向いてきた
 松尾記●障害受容への道
5年で心身ともに落ち着く
リハビリにゴールはない
 松尾記●ターニングポイント
「待っている」といわれ勇気が湧いてきた
 松尾記●障害受容ができると可能性がふくらむ
憎しみにとどまったら前に進めない
術後4か月、決意を新たに
 松尾記●やる気と環境は相互に作用する
残されたものを数えたら
いのちを考える授業をしたい
 松尾記●「できること」「したいこと」を組み合わせる
排便、排尿の悩み
刺激を与えて尿を出す排泄法
排泄の自立を優先する
介助負担も軽減
地獄のような生活なんて送らない
住宅のバリアフリー計画を話し合う
自然な生活空間がほしい
「常識」より本人の意思
入浴方法を何度も練習

第三章 職場復帰に向けて

職場の改修工事
大学のバリアフリー化
車いすを選ぶ
車いすの機能
車の運転を習う
楽しくてこそ栄養は身につく
パソコン操作
心に響いた言葉の数々
麻痺していた右手のリハも開始
全身痙れんの怖さ
退院後の生活への指導・リハ
自分の意思でできることを増やす
病院はずっといるところではない
変えることができないならば
はじめての外出
MSW に退院について相談
「いざ退院」時の不安
忘れられない言葉
退院の前の日
いよいよ帰宅
退院直後のやりきれなさ
やり場のない病院体験
何も言わないMSW
職場復帰のあいさつ
やってもやっても仕事が終わらない
福祉資源はあるが
勇気のいる復職の第一歩
松尾記●小さな英断
授業風景
感動することができる
だんだん生き方が積極的になる
一つの兆し
得たもののほうが大きかった
「私の人生は、ホップ、ステップ、ジャンプ」
これからがジャンプのとき
いよいよ「スキップ」始動
利用者としての「プロ」
胃がん発症
2度目の「受容」
チャンスだった

第Ⅱ部 心に向き合うリハビリテーション

第一章 広義のリハビリテーション

脊髄損傷の基礎
急性期にするべきこと
リハで人格の「取り戻し」をめざす
「何とかなる」

第二章 リハ工学の活用で、広がるリハ

車いすは「敗北」ではない
自立と自律を支えるリハ工学
自立と自律
自立(律)生活を支援する5つの観点
 ①支援チームを構築する
 ②シミュレーションして生活方法を決める
 ③生活道具を探し、情報共有する
 ④住環境の改善はしっかり調査
医療職や福祉職などとの協働で発展するリハ工学

第三章 脊髄損傷とはどのようなものか

脊損の身体特性
損傷部位と手足の動き
私の事故と脊髄損傷
寝ているだけで身体が腐っていく─恐怖と誤解
障害は「かわいそう」ではない
福祉用具はすべての人に関係する
リハビリテーションは人の心を支える

第四章 車いすと住宅改造

車いすが障害を重くすることも
車いすを選ぶ
車いすのチェックポイント
簡単な車いすの改変でQOL が改善
四肢のない3歳の子どもが屋内外を自由に移動
大学に通う四肢麻痺の大学生
進行性の病気で歩行困難になった女性の自立例
「車いす社会」は誰にとっても暮らしやすい
路線バスのバリアフリー化
鉄道のバリアフリー化
航空機のバリアフリー化
「無知」が寝たきりの原因に
つくられる「寝かせきり状態」
在宅リハのほうが社会コストは安い

第五章 浴室をつくる

浴室は単なる「洗浄場」ではない
事前のシミュレーション
浴室改修のポイント
浴室改修の特徴と改修時の注意点
浴室改修の効果

第六章 移動を支える道具

必要な移動支援機器
歩行支援機器を選ぶポイント
座位での移動支援機器を選ぶポイント
胸髄損傷と腰髄損傷の座位移動の機器を選ぶポイント
頸髄損傷の座位移動の機器(車いす)を選ぶポイント
移乗をスムーズにする機器を選ぶポイント
自動車での移動を支援する機器を選ぶポイント
障害児の移動を考える
障害受容は自立(律)生活への道
おわりに
 

障害受容はいのちの受容
税込 1,404円
(本体1,300円 + 消費税104円)
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